2026年8月号 ─ TWOSTONE&Sons決算「答え合わせ」、クラウドワークス大幅減益が確定
7月号で予告した通り、TWOSTONE&Sons(7352)の第3四半期決算(7月15日発表)を軸に、上場関連7社の8月時点の状況を総括する。結論から言えば、6月に71%下落した株価急落は「杞憂」だったことが決算で裏付けられた。通期予想(売上241.82億・営業利益13.24億)は据え置き、主力事業は28四半期連続で売上最高値を更新し、増配まで決定した。株価も8月時点で340円前後まで反発している。一方、クラウドワークス(3900)は8月14日発表の3Q決算で、営業利益が前年同期比-79.0%という大幅減益が確定し、6月号で報じた「構造改革の副作用」が数字として表面化した。さらにINTLOOP(9556)も6月時点で通期予想を下方修正しており、これまで「超高成長」と評価してきた企業にも懸念材料が生じている。本号では、この3社を中心に上場関連7社の明暗を整理する。
今月の3大トピック
- TWOSTONE&Sons 3Q決算 ─ 「警戒売りは杞憂」と判明:7月15日発表の3Q決算は、通期予想(売上241.82億・営業利益13.24億)を据え置き。主力のエンジニアマッチング事業は28四半期連続で売上最高値を更新、増配も決定。6月の株価急落は業績悪化を織り込んだものではなく、投資フェーズへの過剰な警戒だったことが裏付けられた
- クラウドワークス3Q決算 ─ 営業利益-79.0%の大幅減益が確定:8月14日発表の3Q累計は、売上164億(-3.5%)・営業利益3億(-79.0%)・純利益5,000万円(-90.4%)。6月号で報じた「構造改革に伴う一時的損失」計画が、想定以上のペースで現実化。通期予想も減収・低利益水準の見込み
- INTLOOP、通期予想を下方修正 ─ 「超高成長」評価の見直し局面:6月12日、通期売上予想を438億→400億円へ下方修正、営業利益も前期比-36.0%の減益予想に。5年で売上4.7倍としてきた急成長企業にも、投資先行フェーズの重さが表れている
編集部の評価:2026年7月〜8月は、「株価が語っていたこと」と「決算が明らかにしたこと」が食い違う、興味深い1ヶ月だった。TWOSTONEは株価急落の割に決算は堅調、逆にクラウドワークス・INTLOOPは大きな株価変動がなかったにもかかわらず業績は悪化。この乖離は、短期の株価変動が必ずしも経営実態を正確に先取りしていないことを示している。エンジニア個人としては、案件供給元の経営体力判断において、四半期ごとの決算実数値を継続的にウォッチする重要性が改めて確認された1ヶ月と言える。
業界データ ─ 単価のシニア/ジュニア二極化が加速
主要エージェント10社の単価動向(前月比・2026年8月時点)
| エージェント | 平均月単価(7月) | 前月比 | 動向 |
|---|---|---|---|
| Tech Stock | ¥948,000 | +0.6% | 大手プロジェクト継続強い |
| レバテックフリーランス | ¥852,000 | +0.6% | AI関連案件比率が前月+8pt |
| HiPro Tech | ¥834,000 | +0.8% | 金融・コンサル案件が牽引 |
| Midworks | ¥808,000 | +0.6% | TWOSTONE&Sons上方修正と連動 |
| テクフリ | ¥790,000 | +0.6% | 3ヶ月単価交渉が定着 |
| Findy Freelance | ¥785,000 | +1.2% | AI活用度の高い層が牽引 |
| ランサーズTA | ¥767,000 | +0.5% | クラウドワークス構造改革で需要シフト |
| TechHero | ¥730,000 | +0.7% | 新規登録が前月比+15% |
| ITプロパートナーズ | ¥688,000 | +0.7% | 週3案件への分散傾向継続 |
| フォスター | ¥725,000 | +0.4% | 大手SI老舗案件で安定 |
経験年数別の単価動向
| 経験年数 | 7月平均 | 前月比 | 3月比 |
|---|---|---|---|
| 1-3年 | ¥497,000 | -1.2% | -2.9% |
| 4-7年 | ¥805,000 | +0.4% | +1.0% |
| 8-12年 | ¥1,074,000 | +1.1% | +3.6% |
| 13年+ | ¥1,408,000 | +2.2% | +7.5% |
上場企業ニュース ─ TWOSTONE決算「答え合わせ」とクラウドワークス大幅減益
TWOSTONE&Sons 3Q決算 ─ 通期予想据え置き、主力事業28四半期連続最高値更新
TWOSTONE&Sons(7352)が7月15日に2026年8月期第3四半期決算を発表。3Q単独売上52.17億円(前年比+16.1%)、3Q累計売上158.79億円(同+18.5%)で着地。積極的な採用投資(コンサル人材・社員エンジニア・幹部人材)により販管費が前年比4.4億円増加したものの、売上総利益の大幅増加で営業利益は前年並みの77百万円を確保。通期予想(売上241.82億・営業利益13.24億・純利益6.6億)は変更なし、主力のエンジニアマッチング事業は28四半期連続で売上最高値を更新した。期末配当を0.5円→1円へ増配することも決定。
クラウドワークス3Q決算 ─ 営業利益-79.0%の大幅減益が確定
クラウドワークス(3900)が8月14日に2026年9月期第3四半期決算を発表。3Q累計売上164億円(前年同期比-3.5%)・営業利益3億円(同-79.0%)・純利益5,000万円(同-90.4%)と、収益性が大幅に悪化した。6月号で報じた「最大25.5億円の成長投資・不採算事業整理」計画が、想定以上のペースで利益を圧迫している状態。通期予想も減収・低利益水準の見込みで、下方修正の可能性も視野に入る。
INTLOOP、通期予想を下方修正 ─ 「超高成長」評価に見直し局面
INTLOOP(9556)が6月12日、2026年7月期の通期連結業績予想を修正。売上高予想を438億円→400億円(前期比+19.2%)へ、営業利益を14億円(同-36.0%)へ下方修正した。当中間期は売上193.56億円(+20.7%)と伸長したが、採用投資による販管費が前年比43.5%増(46.87億円)となり、利益面で想定以上の圧迫が生じている。8月13日時点の株価は1,980円、時価総額186.4億円。
パーソルHD、2027年3月期1Q営業利益+22.6% ─ 好調な滑り出し
パーソルホールディングス(2181)が8月7日、2027年3月期第1四半期決算を発表。売上収益4,240億円(前年同期比+13.5%)・営業利益189億円(同+22.6%)・純利益121.9億円(同+14.3%)と好調な滑り出し。Asia Pacific SBUの為替・M&A効果(Gojob社の連結子会社化等)が全体を牽引した一方、Career SBUは減収減益と課題も残る。通期は増収増益・3期連続最高益更新を見込み、配当も増額予定。
ギークス・ランサーズ・みらいワークス、8月中に決算発表 ─ 次号で反映
ギークス(7060)は8月7日、ランサーズ(4484)とみらいワークス(6563)は8月14日にそれぞれ決算発表を予定(本号執筆時点で詳細未反映)。ギークスは次期売上283億円(+7.3%)・営業利益10億円(+14.2%)の増益計画を掲げており、進捗が注目される。8月19日時点の株価・時価総額は、ギークス61億円、ランサーズ46億円、みらいワークス27.09億円で推移。
上場7社、決算の「株価との乖離」が際立つ1ヶ月に
7月〜8月に発表された決算を総括すると、株価の動きと業績の実態が必ずしも一致しないケースが目立った。TWOSTONE&Sonsは株価が71%下落したにもかかわらず決算は堅調(通期予想据え置き・増配)。逆にクラウドワークス・INTLOOPは株価の大きな下落がなかったにもかかわらず、決算では大幅減益・下方修正という結果になった。パーソルHDは株価・決算ともに堅調を維持している。
取適法施行(2026年1月)まで残り5ヶ月 ─ 業界準備状況の総点検が必要な時期に
2026年1月1日施行予定の「中小受託取引適正化法(取適法)」まで残り5ヶ月を切った。6月号で報じたフリーランス保護法の勧告・指導累計445件に続き、取適法では事業所管省庁にも指導権限が付与される「面的執行」が強化される。書面交付義務の電子化対応・支払サイト見直しについて、エージェント各社の対応状況が今後の差別化要因になる見込み。
事業会社・採用・規制ニュース
Findy調査:フリーランス平均月単価80万円、AI活用層は84万円
ファインディ株式会社が運営する「Findy Freelance」が、登録するフリーランスエンジニア265名を対象に2026年最新調査を実施。平均月単価は約80万円、時間単価は前回調査の5,138円から5,319円へ上昇。「AIを活用してコードの50%以上を生成する層」の平均月単価は84万円前後で、活用度が低い層(25%以下)と比較して約10万円高い結果に。エンジニアの81.9%がAIによる生産性向上を実感している。
金融・コンサル業界、2026年下半期エンジニア業務委託枠を拡大
主要金融機関とコンサルファームが、2026年下半期に業務委託エンジニアの活用枠を前年同期比+15〜25%拡大する方針を相次いで発表。アクセンチュアやリクルートHDなど大手の動きは、みらいワークスの主要顧客にもあたり、プロ人材登録9.6万名突破の追い風となっている。
2026年1月施行の取適法に向け、企業のコンプライアンス対応が本格化
2026年1月1日施行予定の「中小受託取引適正化法(取適法・旧下請法改正)」に向け、業界各社が対応準備を加速。従来の下請法と異なる「面的執行」が強化され、公正取引委員会・中小企業庁に加え事業所管省庁の主務大臣にも指導権限が付与される。協議に応じない一方的な代金決定の禁止、報復措置への保護強化が新規追加。
SES業界、AI普及による多重下請け構造の見直し圧力
日本ITエンジニア労働組合(2025年設立)の活動が活発化し、厚生労働省が「IT業界の多重下請け構造」について実態調査を開始。適正な労働時間管理とマージン率の透明化を求める声が高まっている。同時に、AIツール普及によって従来の人月ベースの開発単価モデル自体が見直しを迫られる局面に。
上場企業の組織・人事動向
ギークス、子会社アライヴを吸収合併でSeed Tech事業を強化
ギークス(7060)は2026年4月1日付で子会社の株式会社アライヴを吸収合併し、同事業をSeed Tech事業へ統合。海外IT人材・オフショア開発・IT人材育成事業の体制を強化。同社は2027年3月期に営業利益2桁億円(2022年3月期以来)の達成を目標として明示。AI関連エンジニア獲得を中期戦略の柱に据える。
みらいワークス、プロフェッショナル人材登録9.6万名突破
みらいワークス(6563)のフリーコンサルタント.jp登録人材が96,000名を超えた。コンサル経験者・上流IT人材の市場拡大基調を反映。主要顧客にアクセンチュア・リクルートHDなど大手を抱え、業務委託でハイレベル人材を必要とする企業からの引き合いが堅調。2026年9月期通期予想は売上130億・営業利益6億(+111%)を据え置く。
米国テック大手のAI推進レイオフ、2026年累計1.5万名超に
米国テック大手のAI推進に伴う組織再編レイオフが、2026年1月〜5月累計で1.5万名を超えた。当初予測(年間1.2万名)を5月時点で既に上回るペース。AI活用による生産性向上の見込みで、エンジニア組織の絶対数を圧縮する動きが定着。一方、AI/ML・LLM実装専門人材の採用は引き続き活発。
今月の特集 ─ 「株価」と「決算」の乖離、7月号予告5項目の答え合わせ
2026年7月〜8月は、上場関連7社にとって「決算が集中発表され、株価の先行度合いが試された1ヶ月」だった。7月号では「TWOSTONE&Sons株価暴落」を「単一銘柄ショック」と位置付け、8月号での本格検証を予告していた。実際に決算が出揃ってみると、株価の動きと決算内容が必ずしも一致しない、興味深い乖離が複数の銘柄で確認された。本特集では、この乖離を軸に上場7社の状況を総括するとともに、7月号で予告した5つの観測項目の答え合わせを行う。本誌の上場企業分析のデータと連動させて、業界の実態を整理する。
上場関連7社の時価総額推移(7/9 vs 8/19)と決算内容の対比
2026年7月9日基準と2026年8月19日基準で、本誌が分析対象とする上場関連7社の時価総額を比較する。TWOSTONEは株価回復・決算堅調のダブルポジティブ、クラウドワークス・INTLOOPは株価横ばいながら決算は悪化という「隠れたネガティブ」が確認できる。
| 社名(コード) | 7/9時価 | 8/19時価 | 株価動向 | 決算内容(直近発表) |
|---|---|---|---|---|
| TWOSTONE&Sons(7352) | 165〜180億 | 150〜155億 | 反発基調 | 通期予想据え置き・増配・28四半期連続最高値更新 |
| クラウドワークス(3900) | 89.3億 | 109億 | 株価は回復 | 3Q営業利益-79.0%の大幅減益・通期下振れ懸念 |
| INTLOOP(9556) | 161億 | 186億 | 株価は堅調 | 通期予想を下方修正(売上438→400億、営業益-36%) |
| ギークス(7060) | 55.2億 | 61億 | 堅調 | 8/7決算発表・詳細は次号 |
| ランサーズ(4484) | 42.7億 | 46億 | 堅調 | 8/14決算発表・詳細は次号 |
| みらいワークス(6563) | 27〜28億 | 27.09億 | 横ばい | 8/14決算発表・詳細は次号 |
| パーソルHD(2181) | 大型株 | 大型株 | 堅調 | 1Q営業利益+22.6%・3期連続最高益へ好発進 |
※ 時価総額は各社の直近終値ベース。ギークス・ランサーズ・みらいワークスは8月中旬に決算発表があるため、内容は次号で反映。詳細な5年推移グラフは上場企業分析ハブの比較グラフを参照。
7月号で予告した5つの観測項目の答え合わせ
本誌7月号の「来月(2026年8月)のウォッチポイント」で予告した5項目について、8月19日時点で判定する。
① TWOSTONE&Sons 3Q決算の本質検証(7月15日発表)→ 実現・「警戒売りは杞憂」と判明
7月15日に発表。通期予想据え置き・増配・28四半期連続最高値更新という堅調な内容で、6月の株価急落が業績悪化を織り込んだものではなかったことが裏付けられた。本号Section 02で詳述。
② INTLOOP 3Q決算の内容確認 → 実現・想定外の下方修正が判明
6月12日発表の3Q決算で、通期予想を売上438億→400億円、営業利益-36.0%へ下方修正。7月号時点では「決算結果次第」としていたが、ネガティブな内容が確定した点は想定より厳しい結果。
③ クラウドワークス中間決算(8月中旬)→ 実現・大幅減益が確定
8月14日発表の3Q決算で、営業利益-79.0%という大幅減益が確定。構造改革の実行状況について「痛みを伴う移行期」であることが数字で裏付けられた。
④ 主要SIer第1四半期決算 → 部分的に判定・詳細は今後の特集で
大手SIerの1Q決算は7月末〜8月に発表が集中したが、本号では上場関連7社を優先分析したため、SIer個別の詳細分析は次回以降の特集記事で扱う予定。
⑤ AIコーディングツール従量課金シフトによる案件現場の反応 → 継続観測中
GitHub Copilot・Cursor・Claude Codeの従量課金化から2ヶ月半が経過。エンジニア個人の単価・案件現場での使われ方への具体的な影響は、まだデータとして集計できる段階になく、9月号以降で定量的な把握を試みる。
「株価は先行指標か」という問いへの暫定的な答え
7月〜8月の決算シーズンが示した最大の教訓は、「株価の変動幅は、必ずしも業績の実態を正確に先取りしていない」という点だ。TWOSTONE&Sonsは71%という極端な株価下落を経験したが、決算内容は「投資先行・利益横ばい」という上方修正時点から一貫したストーリーのままだった。一方、クラウドワークスとINTLOOPは、株価こそ大きく動かなかったものの、決算では実際に業績が悪化していた。
この「株価と決算の乖離」は、エンジニア側の視点では重要な示唆を持つ。案件供給元の経営体力を判断する際、短期株価の変動だけを見て一喜一憂するのはリスクが高い。むしろ、四半期ごとの決算実数値(売上・営業利益・通期予想の修正有無)を継続的に確認する方が、実態に即した判断につながる。
8月時点の暫定的な結論
① TWOSTONE&Sons:株価下落は「杞憂」、実態は堅調:通期予想据え置き・増配・28四半期連続最高値更新という内容は、6月の急落が過剰反応だったことを示す。株価も8月時点で回復基調にある。
② クラウドワークス・INTLOOP:株価は動かず、決算は悪化:「隠れたネガティブサプライズ」とも言える状況。特にクラウドワークスの3Q営業利益-79.0%は、構造改革の副作用が想定以上に大きいことを示唆する。
③ パーソルHD:規模・決算ともに一貫して堅調:東証プライムの大型株らしい安定感を維持し、3期連続最高益への好発進を見せている。
エンジニア側の含意は明確だ。「株価が動いた銘柄」だけでなく「株価が動かなかった銘柄」の決算内容にも注意を払うことが、案件供給元の経営体力を正確に把握する上で重要になる。本誌の上場企業分析を、四半期ごとの経営体力チェックの参考データとして継続活用してほしい。
来月(2026年9月)のウォッチポイント
- ギークス・ランサーズ・みらいワークス決算の反映:8月中旬発表の3社の決算内容を本誌9月号で詳細分析。特にギークスは前期V字回復(営業利益+76.7%)の継続性が焦点
- クラウドワークス通期見通しの再確認:3Q時点で大幅減益が確定した中、通期の着地がどこまで悪化するか、次回の会社側コメント・修正発表を注視
- INTLOOP下方修正後の市場評価の定着:時価総額186億円(8/19時点)という水準が、下方修正後の評価として妥当か、次の四半期進捗で判断材料が増える
- 主要SIer1Q決算の詳細分析:7月号・8月号で先送りにしてきたSIer個別の決算内容を、業界構造の観点から特集する予定
- 取適法施行(2026年1月)まで残り4ヶ月 ─ 業界準備状況の総点検:本号で予告した通り、年内に各エージェントの対応状況を網羅的に調査する特集を計画
9月号では、これらのウォッチポイントに加え、8月中旬に発表される3社(ギークス・ランサーズ・みらいワークス)の決算内容を反映し、上場関連7社全社の四半期進捗を出揃った形で総括する。引き続き、上場関連7社の業績動向と業界トレンドの連動を主軸に据えた月次レポートをお届けする。